司法試験とオカン、時々私。

どうやら一部の人に好評らしい、おかんシリーズをまとめてみました。
<試験2日前>
試験1週間前から蚊による睡眠妨害のため、寝不足になっていた私が頼んでいた蚊対策のものを、母がやっと買ってきてくれた。まあ自分で買いに行けよという話だが。
母「これすっごい効くらしいよ。新製品やって。」と虫コナーズをくれる。
私「これ、屋外用って書いてあるよ…」
説明を読むと、「ベランダやペットの小屋に!」。そうか、私はペットか…。
翌日交換に行き、試験前日からは蚊に妨害されることもなく、熟睡できました。


<1日目>
5時半に起きて、準備と悪あがきをする私。
いつも6時には起きてくる母親が今日に限って起きてこない。6時45分ごろ「ふあぁぁ〜、よく寝た〜」とあくびをしながら登場。「あんた何時に出るん?」「7時15分」。
途端に慌てて弁当を作り出す母。昨日、5回くらい乗る電車の時間を言ったのに、こういう日に限って寝坊する人だよね。緊張感とは無縁の人だ。幸い出発までに弁当は出来上がったけど。
家を出る前に、持って行く物のチェックをする私。「受験票OK、筆記用具OK…」
「六法持った?」
「六法は向こうが準備してるから」
「まあ、太っ腹やねえ」
「太っ腹って受験料3万近くするし…。あっ、リポビタンD(私の眠気覚まし)が入ってない。」
「リポビタンの方がいい?」(何やらごそごそ探す母)
「他になんかあるん?」
「ワンカップがあるよ」月桂冠と書かれたものをにこやかに差し出しつつ)
「てめー!落としたいんか!!」
笑い転げる母を尻目に、テンションだだ下がりでいざ出発!
この親の思考回路だけは、どうしても理解できない。


<2日目>
昨日の夜は夜勤だったので平和であった。ご飯は温めればいいだけにしてくれているので、母親はご飯作ってくれれば、元気で留守がいいと実感。

7時間論文書いてくたびれて帰ってくると、「できた?」と即座に聞いてくる母。
「聞かんでくれ」と言うと、「まあ、できんかったんね」。決めつけるな!
昨日の夜勤は大変だったとご飯を食べながら愚痴る母。ローの合格者説明会で、「家の方が、家族に愚痴ったり八つ当たりしたりできていい」と本試験は家から通うことを勧めている先輩がいたが、うちでは無理だ。


<3日目>
朝のヘルパーに行く前に、慌ただしく朝ごはんの準備をしている母。
非常にイライラしていて、働くということがどれだけ大変か説教を始める。へえ、すいませんニートで。…なんで、試験期間中にこんなに肩身が狭くなるんだろう。
母としゃべっているとテンションが下がるので、予備校の自習室へ。帰ってくると母はマスクをしていた。
私「風邪?」
母「なんか咳が出るけ、うつしたらいけんと思って。C型インフルエンザかもしれん。」
私「C型?豚やろ?」
母「いや、テレビでずっとC型って言いよるよ。」
私「そうやっけ?……!新型やろ!」
疲れているのか、危うく騙されるところやった。


<4日目>
あれだけ聞くなと言ったのに、帰ってくるとやはり「できた?」
「できんかった」と即答。
「まあ、そうね。あんた5年も勉強してできんのなら向いてないんよ。」
試験期間中に家族からこんなことを言われた人は他にいますか?


<5日目>
今日は飲んでくると思うからご飯いらんと言っていたけど、友達とはぐれたので、やっぱ家でご飯食べるわと帰る途中で電話したら、母はそれからスーパーに寿司を買いに行ってくれた。
晩ご飯は、中トロにぎり5貫580円と上にぎり2人前798円(いずれも更に2割引)。うわー、お母さんご馳走だね!
新聞屋さんからもらった淡麗を飲みつつ、2人で寿司をつつく。
BGMはNHKBS「日本のうた」。島倉千代子が出ていて、演歌を歌っている。「この歌好き」と食べるのをやめて歌い出す母。両サイドから演歌が聞こえる中、淡麗をちびり。
司法試験ってせつないね。


「可能性はまだ0じゃない。ひょっとしたら…」(夢を捨てられない私)
「でも限りなく0に近いんやろ」どん底に落とす母)
千尋の谷の底から這い上がってきた我が子をさらに蹴落としにいく母(獅子座)。
ありがとう、あなたのおかげで私は強くなった気がします。