海外研修記その17 〜ネパール編①〜

ダムから陸路でボーダーを超えてネパールへ。チベットとお別れ。ボーダーの手前で、ガイドさんとドライバーさんともお別れ。これから2人でラサに戻るのにどれくらいかかるんでしょう。
国境は谷間を流れる激流のような川で、川岸は崖のようになっています。中国側で出国手続きをして、橋を渡り、ネパール側で入国手続きをする仕組み。
まず、中国側で出国手続き。こんなに厳しい手続きは久しぶり。漢人の審査官にバックパックを開けろと言われ、めんどくさいなあと思いながらバックパックを開けた瞬間凍りつく。バックパックの一番上に本をまとめて入れていて、一番上に『ダライ・ラマ自伝』があったのです。やばい!と荷物を開ける振りをしながら、『ダライ・ラマ自伝』をこっそり荷物の下の方に押し込む。中の物全部出せと言われたらどうしようとドキドキしながら荷物チェックを受ける。
他の日本人も荷物を開けられて、チェックされてたけど、私の荷物チェックが一番長くて、かなりお待たせしてしまいました。
長くなった理由はガイドブック2冊。審査官が3〜4人で食い入るように見て返してくれない。時々盛り上がって笑顔も見える。ガイドブックの審査に何分かかってんねん、ちゃんと仕事しろ、いやちゃんと仕事されても困る・・・と思いつつ、笑顔で対応し、その他の荷物は余り見られず。『ダライ・ラマ自伝』は見つからず、セーフでした。
橋を渡り、ネパールの入国手続き。ネパール側の審査も結構厳しい。
国境の審査が厳しいのは、亡命問題のあるチベットの特殊事情でしょうか?


ネパールに入り、時計を2時間15分戻す。中国はあんなに広い国なのに、時間は北京時間1つだけなので、サマータイムどころの話じゃなく時間と生活がずれていました。
国境を越えると急に顔が濃くなり、言葉も文字も服も食事も変わります。数十m歩いただけでこれだけ変わる国も珍しいと思います。

国境の町コダリにいた子供たち。ネパールの子供もいい笑顔です。
チベット人より顔が若干濃いけど、インド人ほどではないです。
ネパールは、カトマンドゥはアーリア系の人が多くて、インド系の顔をした人が多いけど、田舎の方に行けば、日本人としか思えない顔をした人がたくさんいたりします。なんで日本語が通じないのか不思議なくらい似ています。ちなみに私は昔インドでネパール人に間違われたことがあります・・・。

コダリからバスでカトマンドゥへ。段々畑がすごい。日本ならすぐに棚田百選とかになりそうな景色がいくらでもありました。
山の上の方に家があるのがわかるでしょうか?人間ってどこでも生活できるんですよね。

このバスの乗り方、ネパールって感じ。道路交通法って知ってる?
カトマンドゥで日本人2人とお別れ。成都からカトマンドゥまで、道連れがいて楽しかったです。このカップル、チベットでケンカして険悪になったり、私に愚痴をこぼしたりしていたけど、彼らはその後も旅を続け、今も仲良く世界一周をしているようです。


<ナガルコット>
カトマンドゥから最寄りのヒマラヤの展望台の町、ナガルコットにローカルバスに乗って行ってみました。車掌さん(運転手の子供かな?)がバスの入口のところにずっと立っていて、バス停に着く度に大声で行き先の町を叫び、客からバス代をもらっていました。

働く男の後ろ姿。かっこいい。
バスは満席で、私は運転手の後ろ辺りにずっと立っていました。ナガルコットに行くまでは山道で、坂をくねくね登っていくのですが、バスの遅いこと、遅いこと。定員オーバーだからか、古いからか、遅いなあと思ってメーターを見ると、なんと8km/hしか出ていません。走行距離もすごい。
385786kmも走って、こんなにすし詰めで上や横にも人が乗っていたらしょうがないのかなあと、メーターを見て納得していたら、バスがとまっても8km/h!メーター全く動いていません。よく見ると燃料計もずっとEになっています。このバス大丈夫か!本当の走行距離は一体何キロなんでしょう。


ナガルコットでは11ドルの小奇麗なコテージに宿泊。ネパールでは高いホテルはUSドルで払わされることが多いです。日本円は全く通用しません。
ネパールで11ドル払うと、かなり快適な宿に泊まれます。高い宿は何がいいかってお湯シャワーが出るんですよ。ネパールの安宿は水シャワーしか出ないか、昼間だけ温水シャワーになる(太陽熱)とかで、気合が必要です。冬は辛いですね。
このホテルはシャワーは良かったのですが、電気がありませんでした。ロウソクとヘッドランプの明かりで過ごします。

ロウソクの明かりの中で食べるオムライス。なんだか高級そうに見えます。
もっと高いホテルは自家発電を備えているのか、電気がついていました。
ナガルコットはカトマンドゥから30kmちょっとなのですが、首都からこれくらい離れると、電気は標準設備ではありません。ネパールのインフラは相変わらず遅れたままです。


電気がないと夜何もすることがなく、暇だったので、1時間くらい首と肩のマッサージを自分でやってみました。数日前から寝違えたのか、ずっと首と肩が痛かったので、自分で揉んだり指圧してみたりしたところ、揉んでいるときはそれなりに気持ちよかったのですが、寝返りが打てなくなるくらい悪化し(寝返りを打とうとすると痛みで目が覚める)、腕が上がらなくなりました。
小人閑居して不善を為す。素人は余計なことをしない方がいいようです。
その後、カトマンドゥの「友愛マッサージ」という日本式マッサージ屋さんで、1時間コース(500円くらい)をやってもらい、だいぶマシになりました。やはりプロは違う。

ナガルコットの展望台から見た朝日。

朝日を浴びる山々。この展望台はサガルマータ(エベレスト)からマナスル、アンナプルナまで見えます。

太陽が上がった後の山々。
前にネパールに来た時に、ナガルコットはいいぞと勧められたのですが、チベット帰りの人には物足りないですね。